ハート形の庭

ゲームの経験、ゲームレイダー

手に汗握る闘神大会編と,物語の核心に迫る後半戦。

ここまでは主にゲームシステムの面について触れてきたが,シナリオ面についてもネタバレにならない範囲で紹介していこう。最初にも簡単に説明したように,本作の物語は闘神大会のトーナメントを中心に進行していく。ゲームの流れとしては,“ラグナード遺跡”での修行パートを数日間こなしたうえで,闘神大会の本戦パートに挑む,というサイクルを繰り返して勝ち上がり,徐々に優勝に近づいていくという形だ。

闘神都市
修行パートはサクサクと進む。次の目的地はタウンマップやダンジョン内で一目瞭然なので,迷うこともないだろう
闘神都市
ラグナード遺跡を“1層分”攻略し,対戦相手とのエピソードを進めると,闘神大会の本戦パートを迎える。綺麗にまとまった構成だ

  感心させられるのは,修行パートはマイキャラを成長させるだけでなく,次の対戦相手およびパートナーとのエピソードが重点的に展開されること。相手達の キャラクター像が事前に掘り下げられるため,敵ながら感情移入させられる。そうしたエピソードを経て,お互いの信念が真正面からぶつかり合う闘神大会本戦 は,否応なしに盛り上がるものとなる。

闘神都市
対戦相手との間で,事前にある程度やりとりが交わされる所が◎。目の前に立ちはだかった敵だから倒す,といった単純なストーリー展開ではない
闘神都市
個性豊かなのは女の子キャラクターだけではない。大会の対戦相手も,一癖も二癖もある人物ばかりだ
闘神都市
大会本戦パートでどうしても倒せないときは,いったんラグナード遺跡に戻って修行に励むことも可能。レベルアップは割とお手軽なバランス
闘神都市
万全の準備を整えたうえで,大会本戦パートで激突。対戦相手の裏事情も色々と分かっているので思わず肩入れしたくもなるが,それでも乗り越えねばならない
闘神都市
本作では女の子キャラクターやモンスターなどに,豊富なボイスが当てられている。大会パートでは受付嬢のシュリさんによる実況が試合を盛り上げる
闘神都市
同じAPを使ったバトルでも,雑魚戦と大会本戦でそれぞれ違った魅力がある。大会本戦では,スキルセットの段階からバトルが始まっているのだ

 そして闘神大会に見事優勝したとしても,そこで物語が終わるわけではない。むしろ,優勝してから本番と いうくらい,事態は急展開を迎え,さらなる冒険がプレイヤーを待ち受けている。この先の物語については,あえて匂わせる程度に止めるが,プレイ時間に関し て筆者の例を挙げるならば,闘神大会パートが少し急ぎめのペースで約16時間。そこからラストまでが+18時間といったところ。
 また本作では 新たなメインヒロインとして“咲夜”が追加されており,彼女専用のストーリーが本格的に動き出すのもまた,後半に入ってからとなる。原作か らのヒロインである“葉月”の物語とは,ルートが分岐する形となるので,両方のルートを楽しみたい場合には,2周目のプレイが必要になる。ちなみに2周目 プレイはお手軽に進められる仕掛けがあるので,双方のルートを楽しむのは苦にならないだろう。

闘神都市
メインヒロインの“瑞原葉月”。20年前当時は素直に鼻の下を伸ばして喜んでいたが,あらためて見ると,あまりに直球すぎるボクっ娘で気恥ずかしくもある
闘神都市
本作で追加されたヒロイン“咲夜”。キャラクター原案は,アリスソフトのファンにはお馴染みのMIN-NARAKEN氏

  ちなみに両ヒロインの違いについてだが,葉月は最初から主人公に対し好感度MAXなのに対し,咲夜ツンデレといったところでなので,それぞれ違った魅 力がある。また,咲夜のキャラクター設定は本作の世界観に深く関わった必然性のあるものなので,原作経験者も思わず「そう来たか!」と膝を叩くこと請け合 いだ。
 どちらのルートも同様に楽しめるが,個人的には,少なくとも原作未経験者は葉月ルートから進めるのがいいかもしれない,とアドバイスしておこう。

闘神都市
テキストのボリュームもたっぷりの本作。RPGだけでなく,ADV(アドベンチャーゲーム)としても楽しめる
闘神都市
原作経験者にとっては,当時を振り返りながら変更箇所に注目するのも面白い。ちなみに原作にあった色々な意味で“アウト”なネタは,さすがにカットされている模様